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bind_37.jpg 幼い頃から絵は上手かった。たけど、不思議と人の絵ばかりが羨ましく、自分の絵は格好悪いと思っていた。小学生の頃から慣れ親しんできた野球が出来なくなったある日のこと、父は僕にバットの代わりに、絵の具や色鉛筆、何色ものフェルトペンを買い与えてくれた。そして、中学の美術教師が描いた大きなエアーブラシの作品に魅了された僕は、その作者にクロッキー(速写画)の訓練を薦められる。更には美術大学へ進めとも…。しかし、父の会社を引き継ぐというレールからも外れ、美大に進むことも望まず、僕は漫画家を目指すことになる。高校の美術部では、憧れたエアーブラシを独学した。緻密で繊細に描かれるスーパーリアルイラストレーション。その丁寧に積み上げられる行程と、理想の色を求めて練られるアクリル画材との対話が好きだった。その時、美術部顧問に授かった言葉に「未完成の完成を知れ」がある。まだ大人になる前の僕は、その言葉を受け入れる懐は持ち合わせていなかった。しかし時が経ち今、その言葉の意味をようやく理解できている。そして、中学時代に薦められたクロッキーの大切さも…。
 人の道とは不思議なものだ。あの時あの言葉を聞き入れていれば、あの時あちらへと歩みを進めていれば、そう思えることが幾枝とある。今の自分は本当の自分の姿なんだろうか…?
 しかし、今自分がこうしていられるのは、今まで出会ってきた誰ひとりが欠けようと成立しなかったことだと思える。知り合うこともなく、ただ街ですれ違った人ひとりが欠けようとも…。その感謝の気持ちを持ってこれからも良い仕事をしていきたい。それが僕の願いだ。